
批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義 (中公新書)
- 作者: 廣野由美子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/03/01
- メディア: 新書
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メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』をさまざまな文芸批評の方法で批評しながら、それぞれの方法論について教えてくれる。特に間テキスト性とジェンダー批評が面白かった。
間テキスト性とは、どんな文書(テキスト)も過去の別の文書に影響を受けて書かれているということを前提にして、その影響のことをいう。たとえば『フランケンシュタイン』は、作中で登場する『失楽園』に影響を受けている。
ジェンダー批評は、性別に着目して批評するやり方。フェミニズム批評は女性と男性の差を自明なものとして扱うけど、ジェンダー批評は男性・女性を連続的なものとして扱う。本書ではゲイ批評・レズ批評が実践されていて、これはネットでよく見る「カップリング」みたいなやつだなと思った。
全体の疑問として「〇〇批評では△△という記述は□□と言える」と書かれたときそれが妥当なのか、そもそも文芸批評の妥当性とはなんだろうと思った。なんのために様々な方法が生まれ文芸批評が行われているのかモチベーションを知りたいと思った。小説の読者としては読み方にはいろいろな方法があるということが学べて良かった。