丸屋九兵衛『ヒップホップの決めゼリフ』を読んだ

アメリカのヒップホップの名フレーズの翻訳と、それのなにがすごいかを解説してくれる。

ヒップホップの人たちがどんなことをラップしてるのかを大まかに知ることができた。体系的にヒップホップを聴いてる人向けで、私はほとんどヒップホップを知らないので解説を読んでもよくわからないことも多かった。

内田樹『寝ながら学べる構造主義』を読んだ

寝ながら学べる構造主義 (文春新書)

寝ながら学べる構造主義 (文春新書)

構造主義の重要人物の考えたことを教えてくれる。重要人物とは以下。

この本のウリの一つが著者の感想や例え話、主観的な記述が多いことだ。噛み砕いた説明ということらしい。私はそれらの主観的な記述にいちいち引っかかってしまっていたが(「明らかに」とか「魔術的な」「挑発的」とか「いささか」とか細かい言葉遣いにそう言えるだけの根拠があるのか、ないなら削除すればいいのにとか考える)、学校の講義を聞いてる気持ちになって読むと引っかからず読めることに気づいた。カルチャースクールの講義ノートが元ネタだということなので、話し言葉で書かれているということだろうか。だけどまあ内容はわからなかった。ぱっと見面白そうなことが書いてあるんだけど、目が滑ってすぐわからなくなる。 「ものごとを相対的に見よう」ということしかわからなかった。それとフーコーの権力についての話とレヴィ=ストロースの方法論は面白そうだなと思った。

本の内容とは関係ないけど、大学生の時に先生や学生などの人が何言ってるのか全然わからないことがよくあって、あの人たちは構造主義の話をしていたのかということがわかった。

大塚英志『ストーリーメーカー』を読んだ

さまざまな神話をある程度以上抽象化すると同じ構造が大量に出てくる。その構造を創作に応用して物語を作ってみよう!という本。同著者の『キャラクターメーカー』『物語の体操』の続編に位置付けられた本みたい。

2部構成になっていて、前半は物語論の先人が発見・分類した物語の構造を教えてくれる。物語の最も基本的な構造は、「欠落と回復」と「行って帰る」の2点で、あとはそれのバリエーションになる。特に瀬田貞二『幼い子の文学』プロップ『昔話の形態学』、ランク『英雄誕生の神話』、キャンベル『千の顔を持つ英雄』ホグラー『神話の法則』について一章ずつ割かれている。後半は実作編で、30個の課題を順番に解いていくと、前半で紹介したこれらの構造に当てはまった物語が出来上がる。

あとがきでこの本を書いた動機を教えてくれる; 事件を起こす若者はよく小説のようなものを書いているが出来がひどい、「私」の内にある生のままの物語をアウトプットしたから一線を越えて事件を起こしてしまうのではないか、物語を整えて物語る技術があればもっと社会と折り合いをつけることもできたのでは、という問題意識がこの本を書いた動機だと言う。

上記の主張は唐突に出てきて面食らったけど、確かにそういう効果はあると思った。私もこの本の通りになんか物語を作ってみようと思い、ぼんやりと考えていた理想の風景を本の通りに加工してみた。美しいと思っていたものがありがちな陳腐な言葉ではっきりしていくという経験ができて、感情的に結構抵抗があったけど面白かった。自分に物語を作るスキルがないというのもあるけど、しょうもないものしかできなくて、「あ、俺の価値観ってこんなもんなんだ」となることができた。物語作成技術を教えてくれる本という体だけど、実は自己啓発書でもあり、そういう使い方もできる。

大学生の頃に文学好きの友人に「小説ってどうやって書くの?」と聞いたら「大塚英志とか読んだら」と教えてくれたので気になっていた。それでこのあいだ読んだ橋本『物語論 基礎と応用』で本書が紹介されてたので読んだ。著者は『多重人格探偵サイコ』の原作者。中学生の頃にルーシー・モノストーンってマジにいるミュージシャンだと思ってたなーと思い出した。

ぼくのように思いつきで主人公の左目にバーコードを入れてしまうと後で辻褄合わせに苦労します。 (『ストーリーメーカー』188ページ)

笑った。

初版の本だったからか誤字脱字が結構あった。

東京カリー番長『世界一やさしいスパイスカレー教室』を読んでスパイスカレーを作った

世界一やさしいスパイスカレー教室 -スパイスカレーのしくみがよくわかる-

世界一やさしいスパイスカレー教室 -スパイスカレーのしくみがよくわかる-

じゃあカレー作ってみようということでS&Bのスパイスリゾート ケララカレーという製品を購入して指示通りに作ってみたらうまかった。それでスーパーでスパイスの小ビンを買ったりしたら楽しそうだなと思い本書を購入。基本的なスパイスカレーの作り方を学んだ。10回くらい作ってみてだいたい毎回同じ感じに作れるようになった。

材料

4人前。

  • ホールスパイス
    • クミンシード - 小さじ1
    • クローブ - 2つ
    • ニンニク - 1片
    • ショウガ - 1片
  • ボディ
    • タマネギ - 1つ
    • 塩 - 小さじ1/2
    • トマト - 1つ
    • ヨーグルト - 大さじ3
    • ケチャップ - 大さじ2
  • パウダースパイス

基本的には本書の最初に紹介されている「基本のチキンカレー」だけど、他のレシピとごっちゃにしている。例えば本だとコリアンダーを大さじ2入れてるけど、スパイスがの減りがそろわないのが気持ち悪いのでこの量にした。フェヌグリークはいい香りなので入れてみたり、ナツメグクローブは家にあったので入れた。ヨーグルトは本書の別のメニューで紹介されていた。本の通りのレシピで作らないのは初心者がおかしがちな失敗原因の一つだとよく聞くけど、それも楽しみということで。

スパイスはたいていのスーパーで売ってるS&Bの小ビンのやつを使ってる。色とりどりで並んでいるのを見ると気分が良い。

手順

カレーの素

  1. 大さじ2くらいのサラダ油でホールスパイスを炒める。
    • 中火ってあるけどニンニクが一瞬で黒焦げになるので弱火でじっくりやってた。
    • クミンシードの香りがめっちゃ立つ時と立たない時があって、どうやったらいい匂いで充満できるんだろう?
  2. ボディのタマネギをボディの塩をいれて炒める。水分を飛ばすのが目的で、しなしなに変色するまで炒める。
  3. 残りのボディを入れる。ここでも第一目的は水分を飛ばすこと。
    • まちがえてタマネギと同時に投入してしまいタマネギが変色しなかったことがあったけどそれでもまあおいしかった。
  4. 水分が飛んで繊維っぽい感じが出てきたら、パウダースパイスをいれて全体になじませる。
  5. 完成。カレーの素は冷凍できる。

カレー

  1. とり肉を油で炒める。
    • 肉は常識的な量で。多ければ多いほど肉料理になる。
  2. カレーの素を入れる。
  3. 水を入れる。
  4. ちょっと煮る。
  5. 完成。普通のルーから作るカレーと大体同じで、他の具や香菜を入れたいなら入れればいい。

感想

スパイスの力は強くて、あーもう完全に手順も間違えたし焦げたし失敗したと思っても完成するとうまいじゃん!となる。

架神恭介『「バカダークファンタジー」としての聖書入門』を読んだ

旧約聖書新約聖書の各文書のあらすじとキリスト教徒でない著者による解説・感想をまとめた本。

『完全教祖マニュアル』が面白かったので読んだ。著者の砕けた解説がついてても正直よくわからない。このよくわからなさから見ると、信仰にとっては聖書のテキストそのものより伝統や解釈や実践が大事なんだろうなと思った。

「マルコによる福音書」が一番素朴なイエスについての文書であることと、パウロは情熱がものすごくあってキリスト教の礎だけどイエスの復活を重要視するだけでイエスの教えについてはそこまでこだわっていないということがわかった。

Kindle版で読んだんだけど、本文がテキスト化されてなく画像で収録されており、マーカーなど引けず文字も小さいので不便だった。

宮本常一『忘れられた日本人』を読んだ

江戸の終わりから第二次大戦後間もなくにかけての農村部に住んでた人からの聞き書き話を大量に教えてくれる。

女好きの色男で今は橋の下に住む人の女性遍歴(「土佐源氏」)とか、面白そうなことがあると村を出ていってしばらくそこで暮らしてみる人とか(「世間師」)、田植えの時はエロ話をし続けたとか(「女の世間」)が本人が語った体に書かれている。民俗学上の評価はほとんど書かれておらず、良い話集として読めるので読みやすい。

民俗学な価値は私にはわからないけど、いい話を聞いたなーってなる。当時としてはどうでもよいありふれた話だったんだろうけど、こうやって文字に残しておくと貴重で価値のあるものになるんだなと思った。著者には消えてしまうものを形として残しておく使命感があるんだろうなとあとがきを読んで思った。

印象に残った話は以下。

  • 寄り合いのやり方。結論を出そうとするんじゃなく、みんなで集まって気の済むまで周辺情報を共有する。数日かけることもある。そうすると全員の合意が自然と形成されるので後で角が立たない。
  • 著者と祖父の亀の思い出話。著者と祖父が亀を捕まえて飼おうとしたけど、急にかわいそうになって逃がしてやった。その亀は長生きして、著者が帰省するたびにそこにいた。
  • 著者の頼みごとを聞き入れるか否かを話し合いに来た周辺の村落の偉い人たちにお礼を渡そうとしても受け取らず、月夜の海に舟を漕いで帰っていく様子。
  • 歌を歌いながら山道を歩くと迷わない。

読んだきっかけは、『もののけ姫』から網野善彦を読もうとして挫折してそのつながりで宮本常一を知った。それでpha『持たない幸福論』を読んでておすすめ書籍に宮本常一の本が出て来たので読んでみようと思ったんだった。ふたつの理由が重なると読んでみようとなるらしい。

高村友也『自作の小屋で暮らそう Bライフの愉しみ』を読んだ

最低限の生活(=Basicライフ)を送るための実践を教えてくれる。最低限の生活とは、楽にゴロゴロできる生活のこと。誰にも怒られないで寝ていられる土地と小屋を持ち、いかに快適に暮らすか。

「自作」というと身構えるが、素人仕事でそれなりにうまくやれればOKというスタンス(=Babyishライフ)で心地よかった。タイトルになっている小屋の自作に関しては、2x4工法というやり方にあたりをつけてはいるが、設計図を書かずに下(文字通り小屋の下の部分)から順に積み上げていく。多少の誤差は都度調整して作っていく。また食べ物に関して、スーパーで米・味噌・砂糖・醤油・塩は非常に安価に手に入るので、米を炊いて味噌汁をつくってそこに野菜でも入れて食べれば月1万円で最高の食生活が送れるという。

Bライフを送る上での法律についても教えてくれる。土地を買って小屋を作りそこで生活するには、土地の利用に関する法、建築基準法、排水の処理に関する法などが関わってくるが、それらの法を遵守するためにどうしてきたかを教えてくれる。普段の暮らしにこんなに法律が密接に関わっていることを意識していなかったので、社会ってすごいんだなあと思った。

著者の技術に対する不安感が独特だった。プロの建てた家は快適だけど、どんなやり方で家が建てられているのか知らないので、その知らなさに居心地の悪さと不安を覚えるという。自作の小屋では内部の構造も、どこが不格好かも知っているので、そういった不安感がなく開放感があるという。たしかに使い続けた道具には愛着が湧くし、自作したものを改造しつつ使うのは大変な達成感と満足感があるなあと思った。生活の基盤である住みかが自作されていたら、たまらない開放感があるのかもなと思った。

いきなり収入がなくなったらどうしようという不安が常にあるので、こういうオルタナティブな生き方を知れて有意義だった。食事の準備の描写がおいしそうで良い。